失いたくはないだけで、ただ手にしている。
いけないことではないよね。ひとり言の様に訊ねる君の台詞に、そうだったら良いな、と思いながら「希望的な観測は好きかい?」と訊いた。君ははにかんだ後で小さく首を振り「質問をする時は、いつも答えを決めてから訊くの」と笑う。希望的観測でも同意でもなく、欲しいのは言葉として清書をする時間なのだと。
僕は「面倒臭いよ」と笑い、君は「お互い様でしょう」と返した。