2007-01-01から1年間の記事一覧

新聞を見た時、高齢で亡くなった人たちも表記されているなか、あいつの年齢だけがやけに浮いていて、思わず「何やってるんだよ」って零してしまった。 一昨日、小・中学校時代の同級生が死んだ。死因までは書いていなかった。何気なく見たおくやみの面で知っ…

秋晴れの空。多くの記憶の背景となった、あの淡い青空。 そんな色に気づく度、好きなものが変わっていないことを嬉しく思う。 鳥は好きだよ。そう返事をする僕に、全然似合わないと君は笑った。 いつも君好みではない答えになってしまうのは、きっと僕好みの…

やっと言葉にすることが出来たと思ったのに、言うべき相手が居なくなってしまった。そう笑う君に、どんな表情で笑い返したら良いのか分からなくて、ただ頷いた。 簡単に非を認めるあいつは、卑怯な人だったと思うよ。 結局、僕らが代わって拾うのだから、さ…

ビール九杯、ズブロッカボトル四本。五時間かけて、三人で。 過去を時系列に並べるのが面倒だからと、ここ数日の出来事のように君は話した。その話の中には「Cloudberry Jam」だとか「スプートニクの恋人」だとか、懐かしい言葉が含まれていて、悲しい物語な…

一日中、降り続く雨。 思えば九月はよく雨の降る月になった。そして置き忘れた傘たち。今ではもう、どこにあるのかさえも知る事は出来やしない。 友達と呼べる人に会ったのは二ヶ月振りだった。 そう呼べるはずだった奴らが、おもしろいくらいに減っていくよ…

何かを切っ掛けにするのなら、きっと季節の変わり目が良い。 例えばそれが、残った熱を冷やすような雨脚の遅い日ならば、尚更。

もっとグーダラしていたかったなあ、と連休が明けてから思った。 千枚ちょっと。この数日間でそれだけの数の写真を撮った。妻と娘、子供の日の動物園、近所の公園やそこに咲く桜。散歩日和の晴れた空と、その後で雨に濡れた道路だとか。そういえば春雷が鳴っ…

体温三十九度越えの視界はアカデミックに歪んでいて、それに加えて彼女の容赦ないボディプレスだとか、本気のグーやチョキだとか。僕が横たわっているのも、一体どちらの理由でなのか分からないくらい。 そんなふうに一日中寝ていて、気がついた。 十八時頃…

欲しいな、と思ってしまってから、ずっとタイミングを伺っていた。 そうして買ったばかりのチョークを彼女に手渡して、冷えたアスファルトの上に座り込む。不思議そうな表情のまま、手にした物を見つめる彼女に、こうするんだよ、と一本の白線を引いてみせた…

すぐに慣れるものだと分かっていても。その歩き易さに違和感を拭いきれないな、と進む雪解けの並木道。 気温六度。彩りを忘れたままの春。昨日は名残り雪が降った。 春なんて嫌いだ、夏なんてもっと嫌いだ、バカヤロウ。 なんて憂鬱を重ねていた自分と共に散…

どうせ外れるのでしょう、と思っていた予報が当たり、近所から除雪の音が聴こえてくる。 ザクッ ザクッと朝雪を擦る音。その合間に春休みを控えた子供たちのはしゃぐ声だとか。季節にはそれぞれに似合った喧噪があって、その季節にしか鳴らせない音がある。…

延々と同じ曲を聴いていたり、周りが呆れるくらい同じ本を読み返したり。そんな事に関してだけ、我ながら素敵な性分をしているな、って思う。好きなものがはっきりしているというのは案外楽な事だ。自分自身を確認しているみたいで安心感もあるし、曖昧に苦…

徹夜明けの朝に雨、というシチュエーションは嫌いじゃない。むしろ明るい陽射しを浴びて目が眩むよりは全然良い。だけれど僕は冬に降る雨が嫌いだ。春の雪解けとは違って、街並が汚くみえてしまうし、何より情緒的じゃない。雪は陽に解けてくれるのが一番嬉…

朝。地下鉄のホームですれ違った時の、その一瞬だけ見た面影が気になって視線で追っていたら、やっぱり懐かしい知り合いだった。 声はかけなかった。かけられなかった。 過去形にするには勿体無いけれど、現在はそうしなければならないことばかりだ。