本気で泣いた。だから、あなたも本気で困ればいい。
酷い捨て台詞を思いついたもんだ。そう呆れる僕に「本気で泣くわけなんかないのにね」と君が笑う。僕は意地の悪い表情で、強がり方も酷いな、なんて返し、眉を歪めた君は「性格が悪い」と不貞腐れる。僕は、面倒くさいことに巻き込まれたのだけれど、と昨夜に受けた電話のことを教える。うざったいくらい、彼は参っていたよ。
君は瞬きを繰り返した後で「それは先に私が知るべきことだ」と笑い、自分が知るべきことではなかったのは確かだ、と僕は困ったふりをしてみせた。