ゆっくり吐き出すと立ち昇る螺旋。
白い息を何度も確かめる君に笑う。僕はその仕草を真似てみる。煙草のように輪を放とうとして、だけれど上手くはいかなくて。今度は君が笑っていた。
十一月の空は、いつも泣き出しそうな表情をしていた。どこまでも広がる灰色のグラデーション。直に降りてくるのは雨粒かもしれないし銀雪なのかもしれない。まるで照る坊主への願いなんて叶わないのだと諭されているようだ。だけれど僕は雨を待っている。雪を待っている。重ねた手の温もりは、二人だけが共有出来る温度だから。それは素敵な事なのだと思う。


吐き出した君の吐息が輪となった。
ふふんと一笑され、悔しくてふふんと返す。そして君は吐息遊びに夢中になる。こっそり僕は、その仕草を真似てみた。