予定よりも半月ほど早い報せに、僕は思いきり動揺していた。
彼女の体調が良くなかったせいもある。その不具合が君に影響する事も知らされていた。五日前に「最悪の場合もある」と言われ、「ああ、またか」なんて思ってしまったんだ。僕らの周りはいつも別離の予感が潜んでいたからね。際限のない想像をするのは簡単で、それを許されたのは残酷な事だったよ。
だけれど、君は強い意志を持っていた。この状況を上手く把握していないのか、何度も小さな足で蹴り上げて、誰にもお構いなしの暴れっぷり。実にパワフル。いいかい、医者の話だと君は弱りに弱っているはずなんだぜ、って。彼女を見てみろよ、って。
僕の涙脆さは有名だった事を補足しておこう。その時はみっともないくらいに泣くのだろうと、誰もが口を揃えていたんだ。事実、二千五十グラムの小さな姿からは、想像もつかないほどの大きな産声を上げる君に、やはり僕は号泣したんだよ。きっと、これからも君に泣かされるのだろうなと思いながら、多くの予想を裏切る事もなく、みっともないくらいに泣いたんだ。


君が見るこの世界が色彩に満ち溢れていればと願っている。
君らしさは君自身が決めてくれたら良い。月並みな言葉だけれど、特別な事は何も望んでいないんだ。だけれど、僕らは君が産まれる前から親馬鹿だったのだと、いつか笑いながら話そうと思っているよ。