雨の通る音。
解除をし忘れたアラームみたいに、望まないタイミングで窓を叩くから、驚いた眠気は逃げてしまった。せっかく一筋の光も漏らさぬように閉じられたカーテンを、愛おしく思い始めていたところだったのに。夜明け前の空の気紛れに、明日が来なければいつまでも付き合ってやれるんだって呟く。
ある日を境に、二十四時間のうちの多くが、持ち主から離れてゆくのは本当だ。どこかの偉人に格言として残しておいてほしいくらいに、ごっそりと離れてゆく。休日を心して喜べるのは、そのラインを越えてからなのだと思う。好きなことをやりたいように出来る日々は、誰もが無碍に手にしていた財産だったはずなのに、現在の僕に出来るのは、ここが雨の通り道だったことを嘆くくらい。ああ、濡れずに憂鬱が訪れるなんて馬鹿げているよ。
もう夜はあのカーテンに恋をさせてくれないのかな。次こそは落ちてみせるのにな。