片足だけ踏み込んだ前線。
咲き誇る前に気づいたのは初めてかも、そんな君の言葉で僕にも見つかってしまった桜は少し震えているようだった。
肌寒い日曜日。街は雲の流れを読めず、大粒の雨に打たれたばかり。それでも過ぎ去った温度を信じて花は目覚めようとしている。花だけではなく、きっと多くがそう信じている。
僕は何か言いたげな表情をする君に、この前線はフライング気味なんだと笑ってみせた。きっと僕らも同じなんだよと、笑ってみせた。