君を乗せてペダルを漕ぎながら感じた、あの穏やかな風を覚えている。
コースターのような海岸通りが帰路だった。スピードに掻き消されそうな声に振り向いて、聞き返して、誤魔化されて、また笑う。もう視点を変えただけではどうにもならない色や背景は、忘れられないくせに見ることが叶わないだなんて、何で僕らは知っているのかな。
覚えていなければならないこと。季節を越える度に増えてゆくよ。