悲しみは融けてゆく。そう言ったのは誰だっただろう。
許容量が平均以下の自分でも、痛嘆を詰め込まれただけでは壊れることができず、自分は強い人間なのか、ただの薄情者なのかが分からなくなる。きっと僕らが物足りなさを感じてしまうのは恵まれているからなのだろう。
相反する感情を知っていなければ、悲しいと嘆くわけがない。
融けるだなんて言えるわけがない。