雨に打たれる街並。
陽にあたって解ける雪が見たいと言って、カーテンを閉じた。ごろんと僕が寝そべると、それを待っていたかのように君も続く。薄暗い部屋のそう低くもない天井をふたりで眺めながら、僕らは話をした。
例えば、生まれてくる子供の事。君は君の色弱が遺伝するのを恐れている。「もしそうなってしまったら謝らなければならないね」。そんな台詞の後、君は緑色だと分かっているカーテンに指をさして「赤」と言った。


いつの間にか聴こえてきた寝息を合図に、僕はカーテンを開く。あとふた月も経てば雨なんか降らなくても雪は解けてしまうのだろう。冬の間だけは僕と同じ色彩を見ていられる。それが嬉しいのにな、と君が笑ったのをぼんやり思い出していた。