秋晴れの空。多くの記憶の背景となった、あの淡い青空。
そんな色に気づく度、好きなものが変わっていないことを嬉しく思う。
鳥は好きだよ。そう返事をする僕に、全然似合わないと君は笑った。
いつも君好みではない答えになってしまうのは、きっと僕好みの質問ではないからなのかな。笑い返して吐き出す息は白く、ゆっくりと宙に昇った。もしかすると、この空はもう冬空なのかもしれない。だからこそ、僕らはこんなにも寂しい笑い方をしてしまうのだろうか。


本当は、好きじゃない。翼に憧れすらないよ。
空の高さなんて知らなくてもいい。世界だって狭いままでいい。
思い返すだけで切なくなる今を、まだ僕は整理しきれていないんだよ。