雨は嫌いじゃないと話していた君なのに、今日の時雨には憂鬱の表情を浮かべていた。理由は何でも良かったのだと思う。雨の代わりに雪が降っていても、何も降らす事のない冬空だったとしても。君はカモフラージュされた溜め息を吐き出すのだろう。相変わらず誤魔化し方が上手くないと笑った。
ほんの数キロメートル先にまだ青空が残っている部分を見つけて、僕らはこの雨が片時雨だった事に気づく。
全然、優しくないな。ビニル傘越しに仰いだ空へ君が呟いた。