札幌の夜はもう息が白い。
この季節になると思い出す友人がいる。彼は僕らにオニオンと呼ばれていた。別に玉ねぎ頭だったわけじゃない。夜空に浮かんだ三ツ星ベルトの巨人を見つけて彼がそう間違っただけ。僕も夜空をよく見上げるから、疎遠になっても毎年のように彼を思い出すのはそのせいなのだと思う。だから何?って、もう冬が近づいているんだなっていう話。ロマンチックではない冬星の挿話も珍しい。
僕はプラネタリウムに通っていた訳ではないのだけれど、そこそこ星の知識に長けている。彼が玉ねぎを見つけた時、僕は隣に散らばった点を線で繋いでいた。あまり役に立った事はないけれど、暇つぶしにはちょうど良いパズルのようなものだった。あの頃の僕らがガリレオ・ガリレイに出会わなければ、今でも自分を中心に地球は廻ってくれていたのだろうか。もしもの世界では僕の名前が付いた星や彗星があったかもしれない。そして彼が八百屋になっていたら可笑しいなと思う。