空き缶を並べた後、打ち上げ花火のように高く蹴り上げた。
奇声、走る、跳ねる、また蹴り上げる。転がる事を止めない空き缶をいつまでも追いかける。
冷えたアスファルトに座り込み、歳相応に乱れた呼吸を整えながら、次の行動に移るまで月を見上げていた。とても細い月。僕らと同じく欠けた部分でほとんどが形成されている。あれは三十日月なのかな、と彼の言葉は少し違和感を感じさせた。きっと覚えたての台詞だったのだろう。どうでも良い、何だって良いよな。本心を口にしたのにそう聞こえなかったから苦笑う。そして、声を上げる。
僕は温くなった缶を手にし、新しい空き缶を作り始める。明日はすぐそばにまで来ているというのに。こうやって見知らぬ地で目覚めるのだろうな。今度は僕らが蹴られる側になってしまえば良いんだ。
高く、遠く。あの花火も月も突き抜けて。