強く地面を踏み込んで、導火線の音から逃げだした。
高く昇る煙線。僕らは打ち上げた落下傘を求めて、芝生に足を滑らせたり、服を引っ張りあって転んだり。大人気なく草色を染み込ませながら追いかけるけれど、上手くは笑えていないと感じているよ。
夏の報せは、いつも同じ調子なのだと思う。昼間の熱や喧騒が、少しずつ夜に依存し始めて。じきに聴こえだす風鈴の音。大花火がつくる影だとか。すべてが君に繋がると知っているから、今度は互いを目掛け導火線を鳴らした。そうやって誤魔化すのは得意なんだ。
僕らはそれが特別ではない別れの証に、素っ気無く背を向ける。誰かが、もう七月か、と呟いたあとで走りだした。
強く地面を踏み込んで、夏の足音から逃げだした。