彼女の病名を聞いた時、医学に疎い僕らでさえその行く末が分かった。それほど有り触れていて、聞き慣れていて、どうしようもなくて、クソッたれで。
久々に逢う彼女は変わらぬ笑顔で迎えてくれた。僕らは話をした。とても古い話ばかり。僕らは彼女よりも上手く笑えていないのは確かで、それも変な話だなと思ったよ。「きっとまだまだ細くなっていくと思う」なんて腕を摩りながら言うから、途中で席を外す奴もいた。なぜなのかは想像はつく。
僕は笑顔を見せたかった。そう、あの頃と変わらぬ笑顔を。
泣くのは本当に彼女が居なくなってからで良い。


だって彼女は此処にいる。まだ此処にいる。