悲しみは融けてゆく。そう言ったのは誰だっただろう。 許容量が平均以下の自分でも、痛嘆を詰め込まれただけでは壊れることができず、自分は強い人間なのか、ただの薄情者なのかが分からなくなる。きっと僕らが物足りなさを感じてしまうのは恵まれているから…
幼馴染みは少しだけ変わっている。 喧嘩の時に刃物を持ち出す六歳児は知っている中でも彼だけだった。 中学の頃に煙草の焼跡で繋いだ左腕の北斗七星を見せて「北斗神拳を極めてしまったぜ」なんて喜んでいるのも彼だけだった。 典型的と言えばそうなのかもし…
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