2004-06-01から1ヶ月間の記事一覧

彼女の病名を聞いた時、医学に疎い僕らでさえその行く末が分かった。それほど有り触れていて、聞き慣れていて、どうしようもなくて、クソッたれで。 久々に逢う彼女は変わらぬ笑顔で迎えてくれた。僕らは話をした。とても古い話ばかり。僕らは彼女よりも上手…

僕はそれがいつになるのか分らないけれど「いつか」と口にした。 君もそれがいつになるのか知らずに「いつかね」と返した。 曖昧な言葉はウンザリだったけれど、あの頃の僕らには都合の良い言葉が必要だったのだと思う。今は何を約束したのかさえ覚えていな…

もう今月は会うのを止めよう。そんな台詞を同性に吐いて笑った。 六月に入ってからというものの、平日休日に関わらず僕らは幾度となく集まり、イングランドが負ければ絶叫し、ヒョードルが勝てば皆で殴り合った。ハミルトンがフリースローを決めた時、あのバ…

裸眼、右0.8、左0.01以下の視力。 僕の左目はレンズを通さなければ君を見ることが叶わない。 並んだ時、いつも君は右側にまわる。何故なのだろうと思っていたが、その理由をやっと教えてくれた。

雨雲が薄れ日の出と共に焼け始めた頃、やっと自由になる。 僕の居場所はこのタオルケットの中なんだ、いつもそう確信しながら眠りにつくのに、朝は必ずその居場所に蹴飛ばされている。僕を包んでくれていない。出勤時、憂鬱なのはそのせいなのだと思う。

ビルの屋上で空き缶に埋もれながら目覚める。 「なんでこんな場所に?」といった表情を見せ、誰もがそこにいる理由と経緯を覚えていなかった。たぶん星が綺麗に見えた夜だったからだとか、おまえの落とした財布を探す為だとか、そんな下らない理由を並べては…

最近は普通に起きているだけで夜が明けてしまう。睡眠時間が学生の頃の半分になった生活。人には「規則正しい生活を」なんて言われるが僕にとってこれがそうなってしまった。 あの頃の平均睡眠時間が六時間。一日の1/4。現在二十四歳。単純計算で六年間も寝…